ロープネット・ロックボルト併用工法とは

設計手法の特徴

1.簡易貫入試験を主体とした調査

本工法の調査は、斜面上での調査に適した軽量な簡易貫入試験を主体として行うため、広域な調査を安価に実施できます。

  • 調査は、現地踏査、一次調査および二次調査と段階に応じて実施します。
  • 現地踏査は、踏査による結果から本工法の概略の適用性(下表参照)を判定し、適用可能と判断された場合、一次調査を実施します。
  • 一次調査は、簡易貫入試験を主体として、潜在崩土層の平面的な分布を把握します。
  • 二次調査は、地形測量(縦断測量)と簡易貫入試験を測線上で実施し、一次〜二次調査の結果、潜在崩土層厚(斜面直角方向)が2.5m以下の場合、本工法の設計を行います。

現地踏査における本対策工の適用性判定条件表

地形条件
  • 表面侵食が起きない斜面に適用
  • 斜面傾斜がおおよそ30〜55度に適用
地質・土質条件 土が土塊状に変状する地盤に適用
崩壊形態 表層崩壊型に適用

2.地震時の斜面の破壊程度を予測

本工法の設計では、想定される地震動に対する地盤の変形量を新たに提案する変形量予測式によって求め、この変形量から斜面の破壊程度を予測し、本工法の適用性を判定します。
本工法では、振動台模型実験や動的な数値解析などから、地震時の地盤変形量について新たな予測式を提案するとともに、地震時の地盤変形量と破壊の程度の関連付けを行いました。そこで本工法の設計とは、対策箇所で将来想定される最大級の地震動に対する斜面の変形量を予測式で求め、この予測変形量が局所破壊以内(斜面の要求性能)であるかどうかによって本工法の適用性を判定するというものです。

変形量の予測例図

上図に示す例では、設計対象地点での想定地震動が0.5Gの場合に斜面に亀裂が発生し、変形量が50mm程度であるが局所破壊には至っていないため、本工法を施せば斜面の要求性能を満足する。これに対して、想定地震動が0.6Gと予想される箇所では局所破壊状態以上の損傷となることから、本工法を施工しても要求性能を満足しない。従って、斜面を安定化させる工法を別途検討する必要があることになります。